バンギグライ

ポケモン 持ち物 技1 技2 技3 技4 特性
バンギラス 拘りスカーフ 噛み砕く 追い打ち 岩雪崩 馬鹿力 砂起こし
グライオン 毒々玉 身代わり 守る 地震 翼で打つ ポイズンヒール
パルシェン 気合の襷 氷柱張り 毒菱 ロックブラスト 目覚めるパワー スキルリンク
ソーナンス オボンの実 カウンター ミラーコート アンコール 神秘の守り 影踏み
スイクン カゴの実 熱湯 瞑想 吠える 眠る プレッシャー
ボルトロス 食べ残し 10万ボルト 目覚めるパワー 身代わり 守る 悪戯心

概要

  パラメータインフレが進み定型的な受けループが動きづらくなってきた今の環境で,あえてバンギラスグライオンというループ系統の組み合わせを使ってみたいと思った.バンギラスは天候ポケモンの中で頭一つ抜けてスペックが高く,打点・範囲に優れ,型の豊富さも相まって安易な強弱関係が成立しづらい点で他の天候ポケモンとは一線を画する存在だと思っている.絶望的に格闘ポケモンを誘ってしまう(相手にメインウエポンが通りづらい反面,自身には格闘技の通りが良すぎる)のが欠点だが,それをある程度カバーでき,砂嵐を活用して無限ループを展開できるグライオンとの相性の良さは明らかである.ただし交代のタイミングが読まれやすいが故に役割破壊でサイクルを崩壊させられてしまう可能性も高い.そこで安全なクッションとしてもう1枚が欲しくなる.数値が信頼できるソーナンスクレセリアが候補だが,悪戯に交換戦を誘発して読み違いのリスクを増やしてしまうクレセリアよりも確実な遂行が可能で起点作りもしやすいソーナンスの方がマッチしていると感じた.

  バンギラスグライオンソーナンスを主軸に考えると厳しくなってくる,ヒードランスイクンギャラドス等への対抗策として次に吠えるスイクンが入ってきた.残り2体はバンギラスグライオンソーナンススイクンでググって発見したあかりさんのブログ記事を参考に,天候パーティへの対応力を上げるためにパルシェンボルトロスを加えて嵌め特化のトリッキーな構築となった.相手のキノガッサが重くなりがちな構築だが,対応できるようには組めているはずなので交代を駆使しながら突破口を見出し,どこかでループに持ち込んで勝機を掴みたい.

個別解説

バンギラス

  • 特性:砂起こし
  • 持ち物:拘りスカーフ
  • 技構成:噛み砕く/追い打ち/岩雪崩/馬鹿力
  • 配分:陽気AS

  採用理由から岩雪崩と追い打ちは必須.クレセリアの処理が遅いと詰むので噛み砕くも切れない.最後の1枠は格闘技・冷凍パンチのいずれになるが,この構築だと交代先に負担を掛けやすい格闘技が優先される.ヒードランバンギラスユキノオー(と交代先)への一貫性を得るためにけたぐりではなく馬鹿力を採用.ナットレイユキノオー(威力100→120),ガブリアスローブシン(威力80→120)等にもけたぐりより大きな負担を掛けられる.レパルダスドーブル等にも初手から高火力を発揮できる.

  やはり瞬間火力が出る技は撃ち逃げが多くなる拘り型には持たせやすい.このバンギラスより素早く,被弾する前提の仮想敵が思いつかず,火力がギリギリなので配分はASとした.グライオンの相方としての選出が主になるが,初手に選出してボルトロスのような先発向きのポケモンに圧力を掛けたり,ユキノオー入のパーティに対しての牽制役として起用したりと単体としての性能を見ても選出の幅は広い.

グライオン

  ドリュウズテラキオンハッサム等を考えてA振り.B170程度までのスイクンの身代わりを地震で破壊できる.Sをある程度確保した時点で大した耐久は持たせられないので最速.このSはドリュウズウォッシュロトムドレディアを意識している.特にウォッシュロトムドレディアは対応できるポケモンが少ないのでS補正は必要だろうと思った.

  キノガッサ対策その1.翼で打つと毒々玉を搭載することで交代を駆使して抗えるようになっている.ハッサムへの有効打である炎の牙がないのは残念だが,PP合戦に弱い無限グライオンは持ち味を殺してしまうと思ったので上記の構成とした.そのハッサムも火力を高めにしたため,羽休め連打を強いることで釘付けにできる.耐久に極振りしたゴツゴツメットハッサムは剣の舞を持っておらずそもそも大した驚異ではない.

パルシェン

  • 特性:スキルリンク
  • 持ち物:気合の襷
  • 技構成:氷柱針/毒菱/ロックブラスト/目覚めるパワー
  • 配分:うっかり屋HaCS

  ロックブラストでニョロトノを10万ボルト+毒ダメージ圏内に入れられる程度のAを確保,Cは目覚めるパワー炎で珠ハッサムを倒せる程度まで割いてHに多めに振る.Sはニョロトノハッサムが抜ける程度は欲しい.基本的に毒菱を撒くところから入るポケモンなので殻を破る暇はほとんどなくサブウエポンを増やす方が良いだろうと考え,目覚めるパワーを持たせて偶発対面で起点になりづらいように配慮した.メインの氷技・岩技を半減し,毒が入らない鋼に対する有効打としての目覚めるパワーは一見すると使いやすそうに思えるが,火力は大したことがないのでほぼ対ハッサムナットレイ特化技のような扱い.しかしながら,相手に読まれにくく呼び込みやすい相手に致命打を与えられるのでこの1発で勝負がほとんど決まってしまうこともザラである.

  H振りの恩恵が大きく,鉢巻カイリューハッサム等の高火力先制技への耐性が大きく上がる.打ち合いしか意識していないので殻を破る型やスカーフ型と比べて攻撃回数は稼ぎにくいが,物理耐久に関しては高めなので毒菱撒き+役割対象への遂行程度は可能なスペックを持っている.

ソーナンス

  • 特性:影踏み
  • 持ち物:オボンの実
  • 技構成:カウンター/ミラーコート/アンコール/神秘の守り
  • 配分:図太いBS

  無理矢理サイクルを断ち切って厄介な格闘ポケモンを潰してくれる頼れるポケモン.最低ラインが根性ローブシンの空元気2耐え.努力値に余裕があるのでローブシンに先制アンコールして確実に処理できるようにSを伸ばした.安定した格闘受けができないと採用した意味がかなり薄れてしまうのでこの調整は重要だと思う.

  そこそこ早いので神秘の守りも使いやすい.ソーナンスは中途半端に手を伸ばすよりも,役割を絞って神秘の守り+アンコールで起点作りをさせる方が使いやすいと思った.道連れを使うタイミングは他の技でも良い場合が多く,嵌め構築で採用している以上はアンコール・神秘の守りを両立した方が使いやすいと感じた.

スイクン

  • 特性:プレッシャー
  • 持ち物:カゴの実
  • 技構成:熱湯/瞑想/吠える/眠る
  • 配分:図太いHBcS

  吠えるは毒菱とのシナジーが良く,相手にするのがだるい積みポケモンへの保険となる.グライオンが積みポケモンに弱く,特に回避率を上げられると苦戦を強いられるので吠えるは有用.ギャラドスに身代わりを張られた場合でも対処できる.身代わりを切るのは抵抗があるが,零度スイクングライオンは身代わりボルトロスでも処理できる.

  受けループ・ギャラドス・カバドリ・テラキオン等の相手がメインになるであろうことから性格は図太い.このスイクンソーナンスが選出できない場合に受け要因で選出するので耐久を高めておいたほうが良い.火力はオボンカバルドンを意識しているが,ドリュウズバシャーモテラキオン等へのダメージupも期待できる.Sは準速ハッサム抜きとし,珠や鉢巻等の高火力型に負担を掛けやすくしてある.ヒードランを抜けなくなるのはあまり嬉しくないが元々タイプで圧倒している.

ボルトロス

  • 特性:悪戯心
  • 持ち物:食べ残し
  • 技構成:10万ボルト/目覚めるパワー/身代わり/守る
  • 配分:臆病hCS

  H16n+1を確保して残りはニョロトノへの10万ボルトの乱数が動くところまでCにガッツリ振った.守る→身代わり→守る→身代わり→・・・→身代わり→守る の流れで15ターン稼げる.参考までに,毒:8-9ターン・猛毒:6ターンで相手が落ちる.オボンの実込みだと,毒:10-11ターン・猛毒:6-7ターン,食べ残し込みだと,毒:15-16ターン・猛毒:7ターン掛かる.

  キノガッサ対策その2.身代わり・目覚めるパワー氷を上手く使えば勝機はある.悪戯心と高いSが相まって先制技持ちの相手にもループが崩されにくく,攻撃範囲も優秀.みがまも使いの中では頭一つ抜けたハイスペックポケモン


選出

パルシェンボルトロス + α

    

  脱出雨に対しては主にこの選出で応戦する.相手が霊獣ボルトロスニョロトノキングドラだった場合は,パルシェンボルトロスソーナンスの選出で初手に蜻蛉帰り,あるいはボルトチェンジを受けながら毒菱をする.蜻蛉帰りで出てきたニョロトノに先制ロックブラストを当ててキングドラに脱出させることで,キングドラに毒を入れつつニョロトノボルトロスの10万ボルト圏内に入れられる.脱出後にキングドラではなく霊獣ボルトロスが出てきても同様で,ここでパルシェンを捨てればニョロトノキングドラボルトロスで処理できる.残った霊獣ボルトロスも守るで拘りロックしてからソーナンスで安全に倒すことができる.

  ウルガモスハッサムバンギラスサザンドラ等のせいでソーナンスが選出しづらい時には,代わりにスイクンを選出する.クッションとして使うことが多く,ターン稼ぎしやすい吠える持ちとして重宝する.Sが最低限であるため,眠るタイミングを逸して落とされてパーティ全体の与ダメージを大きく減らしてしまうようなことがないように慎重に技選択する必要がある.

バンギラスグライオン + α

    

  ユキノオー入りにはパルシェンボルトロス選出では不利が付くことが多いのでバンギラスグライオンで応戦したい.毒菱があまり有効でないスタンダードパーティにもこの選出をする.基本選出はバンギラスグライオンソーナンスキノガッサ入りの構築であったり,ユキノオーハッサムの形に対しては,初手バンギラスが大きなディスアドになる可能性があるのでグライオンから入るのが良い.ハッサムを良く誘うが,それ以上にウォッシュロトムを誘いやすいので両方警戒する場合には初手バンギラスの方が間違いが少ない.

  バンギラスグライオン選出をする場合でも,ソーナンスが選出を縛られている場合にはスイクンを選出する.特にウルガモスはラムの実持ちであったり,積まれるとバンギラスで処理できなくなったりと厄介な相手だが,吠えるで流すことで再度毒を入れたり,能力upを解除してバンギラスがタイマンできる場を整えることもできるので選出を分ける意味が理解しやすくて良シナジー.他にも回避率upを含む積み技持ちを牽制する必要があったり,受けループを相手したい場合等にはスイクンを積極的に選出する.

パルシェンバンギラスグライオン

  ユキノオートドゼルガを相手にする場合にはパルシェンで毒菱を撒いてバンギラスグライオンで嵌める.ユキノオートドゼルガの並びに毒の通りが良く,双方にパルシェンが圧力を掛けられる.反面,霰下でのボルトロスは大きく性能を落としてしまっているので時間稼ぎにはバンギラスグライオンの方が適しているケースが多い.スタンダードパーティでも毒の通りが良く,バンギラスがいないと崩しにくそうな相手にはこの形で応戦する場合もある.

参考BV

55-41119-74436

  ジュエル二度蹴りでも耐えるので毒菱を撒いて,ソーナンスを絡めつつテラキオンボルトロスの圏内まで持って行って勝ち.テラキオンを捨ててニョロトノを温存してきた場合はソーナンスで神秘の守りを使いつつボルトロスの負担を削ってパスする.眼鏡をキングドラではなく臆病CS暴風トルネロスが持っていたとしても食べ残し守るのおかげで高確率で撃ち合いに勝てていたと思われる.

77-63331-96656

  ランクルスが居るのでバンギラスの選出が確定.初手バンギラスは引けないので噛み砕くで削り,対面で地震撃ってきたのでガブリアスは襷かつ補助技なしが濃厚なので強気にソーナンスでカウンター.ノータイムでソーナンスに繰り出してきたのでジバコイルが眼鏡なのは明らかだった.ジバコイルが頑丈だったらスカーフカイリューの逆鱗のダメージ次第では負けていたかもしれないけど選出・立ち回りはミスってないと思われる.

37-83434-20558

  エアームド入りの受けループっぽかったのでスイクンは欲しいと思った.初手はキノガッサを警戒してグライオン.スカーフの確認とキノガッサへの後出し準備の守るから入った.スイクンを繰り出したにも関わらずエアームドステルスロックさせただけで捨ててきたので腐り気味のバンギラスを捨て気味に投げてみたら奏功した.先制けたぐりで落とされてたらスイクン投げ→吠える→眠るから仕切り直しだったがどっちにしろ勝ち.やっぱり硬いスイクンは大正義!

結語

  バンギラスグライオンソーナンスという良シナジーの美しい並びのパーティの一例である.このメンツを考案したあかりさんに敬意を表し,煮詰めた結果がこの構築である.選出が固定化されるため高い安定感を誇る.選出パターンが煮詰めきれていない状態で見極めを誤るとすごく弱いと感じたが,それさえクリアーすればかなり使いやすいパーティだった.

  第5世代も終盤となったが,バンギラスグライオンという組み合わせの凶悪さはずっと健在だろうと実感させてくれた.ドラゴンが居なくてもここまでやれるというのはある種感慨深くもあった.